6V6GT 強NFアンプ



【6EJ7】


6EJ7という、大変高性能な真空管があります。

この球はテレビの中間周波増幅用の真空管です。私が持っているのは、おそらく松下製と思われる海外ブランドの物で、メッシュの美しいシールドがEF86を思わせる、格好の良い真空管です。(シールドがパンチメタルのものもあり、これはいまいち格好悪いです。)
6EJ7を差動増幅器として使用し、田村さんがよく作っている強NFアンプを製作することにしました。

6EJ7は大きなGmの高周波用の球ですから、安定した動作をさせるためには実装がモノをいいます。そこで、田村さん流のベタアース(グランドプレーン)で対応します。

今回は、全体的に田村イズムを導入しつつ6EJ7を料理することを主目的とし、ついでに6V6アンプを製作します。



【シャーシ構成】

田村さんの場合は電源が別なのですが、今回はアンプを電源を同一シャーシに格納します。そのため、10cm×10cmの片面無垢の紙フェノールプリント基板をグランドプレーンとして、アンプ回路をごちゃごちゃと実装していきます。


6V6GT Amplifier Photo by Tamura-san

シャーシ中央部に電源部を配置し、左右に振り分ける構造です。アンプ回路は塗装した紙フェノール基板をサブシャーシにして組み立てています。真空管の穴は、紙フェノール基板にシャーシパンチで穴を開けるという暴挙に出ましたが、割れ等なく、問題ありませんでした。




【回路構成】

たまには回路の解説でもしてみますか。いつも味気ないんでね。

電源部から。

6V6GT 直結強NFアンプの電源部

電源トランスは、B電源(280V)とヒーター電源を供給するKmB-250Fと、15V2巻線100mAの東栄トランスの2個を使用しています。
B電源は(たぶん)TV用ダンパーダイオードの3TH41Aの4本ブリッジにより整流し、抵抗を用いた2段πの平滑でチョークを使わずに済ませています。平滑用ケミコンは400Vの耐圧を確保してあります。
これで電源ハムはありません。

負電源は手持ちの1N4007で同様にブリッジ整流後、三端子レギュレータで-24Vと-18Vを得ています。0.1μFは三端子レギュレータの動作を安定化させるためのセラミックコンデンサで、配線長を短く取り付けてあります。

アンプ部が直結なので、電源投入/切断時の出力トランス保護のため、2系統のリレーを入れています。片方(Ry1)には遅延回路を入れています。遅延回路の発光ダイオード(LED)は電源のインジケーターを兼ねています。


次、アンプ部。6EJ7差動増幅器→6021Wカソフォロ→6V6GT固定バイアスと、ここまで直結、信号経路にコンデンサはありません。NFBはコンデンサ経由で抵抗分圧し、差動段に戻します。

6V6GT 直結強NFアンプ

入力は発振対策用100Ω(6EJ7の直近に配置)を通過し、6EJ7差動増幅器に入ります。

差動増幅器には約20mAを流しています。2SC2719は以前安く売っていたのを買いだめしておいた汎用品で、まぁ2SC1815-Yのような物です。
差動段は、特にカレントミラー負荷などにはしていません。ゲインは稼げるのですが面倒なのでね。それでもこの差動段、約100倍のゲインがあり、かなーり優秀です。
6EJ7のG2は、トランジスタ(2SC2335)のエミッタフォロアにより約100Vにレギュレートしてあります。

カソフォロ段の6021WはフィリップスECGのサブミニチュア管で、プリント基板の裏側に実装します。この球のEPの最大定格は165V、EH-Kの最大定格は200Vですが、このアンプではEP160V程度でまあOK、EH-Kは120V程度で問題ありません。プレート損失も定格内に問題なくおさまっています。
EPがぎりぎりということで、手持ちの5965あたりを使う事も考えましたが、シャーシ上の構成がいまいちきれいにならず、思いきって、使ったことのないサブミニチュア管にしてシャーシ内に隠してしまいました。カソフォロ段のバイアスは2.3mA程度です。
6021Wはクラシックコンポーネンツで350円と安価でした。航空機用に振動対策がなされた、良い球に思えます。

カソフォロの出力は、抵抗により簡単にレベルシフトし、終段に接続しています。50KΩのVRで終段のバイアスを調整します。VBEマルチで繋ごうかなとも思ったのですが、今回は信号経路は球にしたかったのと、まぁ程度問題というのもあるので、定電流負荷(2SC5201)のP-N接合様におすがりし、簡単にすませています。

終段は固定バイアスで、カソードパスコンを排しています。
6V6というのは使いやすいぼんやりした球みたいで、プレートに入れるパラ止め抵抗は不要でした。当初50Ωほど入れていたのですが、撤去しました。同等管でも、6AQ5あたりだと必要かもしれませんね。なお、使用した6V6GTは宇多さんに16A8と一緒にもらったソヴェート製です。
終段プレートには30mA程度しか流していません。6BM8クラスの軽い動作です。これはおもに出力トランスの負荷(直流電流)軽減により低域の質を向上させるためです。
6V6GTのG2はエミフォロにより約150Vでレギュレートしてあります。

NFBは47KΩ÷180Ω=260倍(OPT 1次側)の仕上がりゲインです。オープンループゲインを計るの忘れたんで、NFBが何dB掛かってるかは知りませーん(´ー`)。でもまぁOPT 2次側からのフィードバックではこうはいかないってくらいは掛かっているでしょう。(笑)

出力トランスは2次4Ω端子を用いています。つまり、私の8Ωのスピーカーを接続すると、1次は6KΩになる計算です。パワーは、お寺で木村さんに計ってもらったら、6.5Ω負荷で2W程度@THD10%でした。まぁこんなもんでしょう。

6EJ7まわりに、大量に0.1μFが入っていますが、これは差動増幅器を安定動作させるための処置です。セラミックコンデンサを用い、6EJ7のソケットのピンから最短でグランドプレーンに落としています。高周波回路の常套手段で、これにより高周波領域での回路のインピーダンスを下げているわけです。
また6EJ7のソケットは、ピン管の結合を嫌って外側に90度ラジオペンチで曲げてあります。過剰ですが、1番ピンと9番ピンの間に、シールド板を設け、これでグランドプレーンとセンターピンの間をつないでいます。
回路図には出ていませんが、6EJ7のインターナルシールド端子も直近でグランドプレーンに落としています。


今回は、かなりオーバースペックな発振対策をやっています。0.1μFのパスコンは大半がなくても問題ないと思いますし、入力の100Ωも要らないみたいでしたが、まぁそのままにしてあります。問題ないのを逐次確認しながら、一つづつ撤去してもいいかもしれませんが・・・。
いずれにせよ、6EJ7のような高性能な球を活かすのにベタアース(グランドプレーン)構成のコンストラクションは良い方法のようです。もちろんオープンループでも発振はありません。そもそもグランドプレーンなしでは、パスコンもろくに能力を発揮しないでしょう。補正回路やフィルタ等で対応するのではなく回路の特性そのものを抜本的に向上させるのは、むしろ正攻法に思えます。





【試聴】

いかにも田村さんが好きそうな音質です。トランジェント感があり、かつ繊細です。


パート2へ続く


Aug.31, 2001



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