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12BY7Aカソフォロ出力定電流アンプ/LM1875T定電流アンプ |
【定電流アンプとは】
通常のアンプを定電圧アンプと呼ぶことにすれば、定電圧アンプでは出力信号電圧を先決し、結果として負荷(スピーカー)のインピーダンスに応じた電流が流れるわけですが、定電流アンプでは出力端に流れる信号電流を先決し、負荷にインピーダンスに応じた電圧が発生する、といったところでしょうか。
もうすこし具体的にいえば、例えば8Ωのスピーカーをつないでいて、f0付近で32Ωになったとすると、おんなじボリュームでも定電圧アンプでは電圧は変わらず電流が1/4になりますが、定電流アンプでは電流が変わらず電圧が4倍になります。
定電流アンプのメリットとしては、理屈上スピーカーのDC-R成分(≒8Ω)の影響を受けなくなるということが挙げられます。またスピーカーとアンプをつなぐケーブルのDC-Rはまあ基本的に低いものですけど、これも影響を排することができます。
スピーカーって物は一般的に定電圧アンプでの駆動が前提になっていて、例えばメーカーの製品開発段階等でも定電圧アンプで音質的な検討がされた上で商品化されてるはずです。そこを定電流アンプで駆動するとスピーカーのインピーダンス特性に応じた電圧で駆動することになるので想定外の周波数特性になります。従って実際の使い方的には結構マニアックな世界になっていて、後面解放系の自作スピーカーやMFBと組み合わせる場合が多いようです。
私は定電流アンプは何度か聴いていて、ある面では魅力的な音と言えるのですが、非常に癖が強く、つなぐスピーカーなどによって音が違い過ぎる印象で、さすがにちょっとなあ、というのが正直なところです。スピーカーをgivenとしたとき(例えば既製品のスピーカーを使っているなど)良い結果が得られないのも難点で、安易に他人に薦められないものがあり、どちらかといえばハイリスクな代物であるといえます。
ところが、ある機会に、インピーダンス補正をした既製品スピーカーと定電流アンプの組み合わせを聴き、低域は意外に締っているし、中高域は少し前のSATRIアンプみたいな感じで、定電流アンプのトランジェント感も出ているし、これならなかなか悪くないなあ、と感じ入りました。定電流アンプの使い方としてはこなれた形だと思います。
【電流検出抵抗を使う方法】
定電流アンプを作るには、大雑把に終段に着目して分類すると、電流検出抵抗を使ってI-V変換してフィードバックかける方法とカレントミラー(など高インピーダンス端)を使う方法があるようです。まずは電流検出抵抗のアンプ行ってみましょう。12BY7Aカソフォロ出力アンプが手ごろなので、これを改造してみます。(一度作り直してますので、G2ドライブ回りや電源セクションも微妙に変わっています)

12BY7Aカソフォロ出力定電流アンプ
電流検出抵抗は220Ω//100Ωで、だいたい68Ωです。素直に68Ωにすればいいのですが、手持ちがないのと、復元を考えて220Ωを基板上に残しておきたかったのでこうしています。7kの負荷インピーダンスに対して68Ωですから、倍率40dBで、トランスで30dB落ちるので、仕上がりゲインは10dBです。クリップすると発振するので、まあ発振しっぱなしにはならないのですがやはり気持ち悪いので、極力ゲインを押さえてます。
結構発振するので、入力に1kを入れるとともに初段の負荷に150pF(47pF×3)をパラります。1kはベース直近に入れるのがセオリーですけど、改造実装の関係上こうなっています。高域補正は150pFだとリアクタンス成分53kΩ@20kHzで、だいたい負荷(47k)とおんなじぐらいになる計算です。このアンプ、もともとオープンゲインが有り余っているのでこれで別段問題ありません。
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| うちの主力アンプです。出力1W程度。 当初のぺなぺなシャーシから、奥澤O-40に組み換えています。 電解コンデンサがバカでかいです。 |
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| 秋葉原の会合に持ち込んだときの写真が見つかりました。 |
【その試聴】
はっきり言ってこれは聴けます。かなり普通です!
オシロを当てると、強力なフィードバックのため電流検出抵抗に出てくる信号は波形・位相とも入力信号とほとんど一致しており、高い定電流性が確認できます。一方、54B57にかかる電圧はかなり位相回転してます。
今後は多極管無帰還アンプとかも前向きに検討した方がいいかもしれません。
【カレントミラーを使う方法】
次に、カレントミラー方式を作ってみます。

LM1875 定電流アンプ
カレントミラーには手持ちの2SA1470/2SC3747を使います。私のテスターにはギャップ電圧の測定機能がついていますから、それぞれ10個程度あるうちから同じのを選んでいますが、hFEは面倒なので見ていません
^^); そのかわりにエミッタ抵抗に0.47Ωとやや大きめを入れて電流が流れた時のバランスをとるようにします。
ダミーロードの8Ωは、ヤフオクで手に入れたDaleの格好いいメタルクラッドを使ってみました。出力インピーダンスを決める抵抗は、当初は東栄さんの出力トランスT-600/7kの一次側を使ったインダクタンスにしていましたが、かさばる割りにあんまり意味なかったので結局シンプルに1kΩにしました。
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| 写真上部、青いフイルムコンの右隣がLM1875、その右2つがカレントミラー。ヒートシンクはだいたい10cm×20cmです。 |
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| カレントミラーは、出力側をヒートシンクにネジ止めした後、マーキング面同士を合わせて入力側をエポキシ接着剤で接着し熱結合しています。 |
【その試聴】
ICのいいところは無調整ですむことです。8Ωの負荷をつないで電源を入れると、DC電圧の漏れは2チャンネルそれぞれ30mV程度と5mV程度で上出来です。
冷却スプレー出してきて、出力に8Ωつながない状態でミラーのトランジスタの片方の表面が白くなるまで吹き付けるとさすがに片側が飽和するまでドリフトしていきますが、その状態からだんだん暖まってくるとすんなり元の電位まで回復するので、一応熱的にも安定しているようです。8Ωをつないでいれば白くなるまで吹き付けて変動はたかだか0.8V程度です。
音ですが、中高域はいかにも定電流アンプといった音ではあるのですが、低域出まくりで、さすがに物には限度というものがあります。すかさずi-Tunesのグラフィックイコライザ機能を使ってバランスをとると、良い仕上がりになります。
【2つの定電流アンプの物語】
定電流アンプのトランジェント感は「ならでは」のものです。
2つの定電流アンプは中高域のキャラクターは似ていますが、違いは低域で顕著に表れました。もちろん、正しい定電流アンプはLM1875の方です。私のスピーカーは「全帯域でインピーダンスがフラット」という触れ込みのなのですが、本当に定電流アンプをつなぐとやはり低域が膨らむようです。2wayなんですが、まあネットワークなんかも当然定電圧アンプで駆動することを前提に設計されているでしょうし。
やはり難物、という印象ですが、最近はPC上でグライコ機能が普及したので割と手軽に定電流アンプが楽しめるようになったと思います。
12BY7Aで低域が膨らまない理由ですが、出力トランスに原因があるようです。結局、トランスのインダクタンスに制約があるため、低域で定電流性が低下するようです。54B57のインダクタンスは小川さんの所に測定結果がありますが、54B57の2次側は9.3mHしかなくて、これはリアクタンス成分で言えば100Hzだと6Ω、つまりだいたいスピーカーのインピーダンスと同じになりますから大雑把に言えば半分ぐらいの電流しか流れないことになります。要するにこれはローカットフィルターになっていて、結果的に帯域バランスがマシになっている、というのが真相のようです。
Apr. 20, 2008